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6月12日(日)、京都・立誠シネマプロジェクト「世界のアニメーションシアター WAT 2016」のトークイベントのゲストとして、京都精華大学 京都国際マンガ研究センターの研究員、ユースギョン(庾水敬)さんをお迎えして、韓国、日本、フランス、カナダなどでのご活躍を伺いました。(写真 左)

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1986年に韓国で生まれたユーさんは、ものごころがついた頃から作文や絵を描くことが大好きだったとか。ご両親は「マンガを禁止」したものの、ユーさんはマンガに惹かれます。11歳で日本の“少女マンガ”と韓国のものとの違いに気づくと、マンガへの興味はさらに高まり、作文と作画の両方ができるマンガ家を目指すようになります。
韓国に初めてできた「韓国アニメーション高校」への進学を希望したものの、ご両親は大反対。大喧嘩をしながらご両親を説得、韓国アニメーション高校の第2期生になられました。流暢な日本語を操るユーさんも、高校時代に独学で日本語を覚えたのだそうです。
マンガへの興味が尽きないユーさんに、日本留学、マンガ学部がある京都精華大学への進学を勧めてくれたのは、マンガ禁止令を出していたお母さん。「韓国のマンガ研究はまだ遅れている。京都精華大学以外なら学費を出さない」と、叱咤激励。それに応えて、ユーさんは難関の京都精華大学に合格、2004年に初来日されました。以来、日本では京都以外に住んだことがないそうです。
京都精華大学・大学院では、ストーリーマンガを専攻。女性向けマンガ、マンガの視覚表現を研究され、13年に博士論文「日本の少女マンガと韓国の純情マンファにおける視覚的要素の比較研究―「花より男子」と「らぶきょんLOVE in 景福宮」の比較を中心に―」で博士号を取得。現在は、京都精華大学 京都国際マンガ研究センターの研究員として、さまざまな企画展や海外での発表などで活躍されています。

マンガ海賊版が1950年代から出回っていた韓国では、日本のマンガを通じてファンやマンガ家になった人たちが多く、マンガそのものにも少なからず共通点はあるそうです。それでも韓国の読者は「日本と韓国のマンガは違う」と直感。それは、絵柄やコマ割り、演出全般、描線などを含む視覚表現に違いがあると、ユーさんは分析。
日本のマンガは物語を重視し、新作発表・発刊のスピードが早く、大きな国内市場で激しい競争に曝されるから、「よりよいマンガが出てきて、人気がある」とも。
日本ではマンガ人気をけん引する同人誌ですが、韓国からも日本のコミケに出品する人がおり、規模は小さいながら、韓国にも「コミックワールド」という同人誌即売会があるそうです。

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ユースギョンさん直筆の”生い立ち”

大学時代に、ユーさんはフランスのマンガ、バンド・デシネにも興味を抱くようになります。テーマやモティベーション、視覚表現・技法や演出に、「フランスの作家は、何故これを描いたのか?わたしなら違う表現にしたかも」と疑問に思い、なぜ視覚表現の違いが生まれるか知りたいと感じ、休学してフランスへ。
アングレーム国際漫画フェスティバルで有名な、フランス西部のアングレームの近くに住み、フランス語を習得しながら、フランスのバンド・デシネ文化に浸ったそうです。アングレームの「作家の家」での研修を希望していたのですが、学生は受け入れてもらえず、断念。
「英語を勉強しよう」と、カナダのモントリオールへ移り、半年ほど滞在(ケベック州のモントリオールはフランス語圏ですが、英語系大学があり、英語教育は盛んです)。
こうしてマンガへの強い関心をきっかけに、ユーさんの世界は文字通り広がりました。カナダを離れ、しばらく世界を巡り、韓国語と日本語だけでなく、フランス語と英語も話さすようになって、京都に“帰国”。

ユーさんが学んだ「韓国アニメーション高校」は2000年に創立された、ソウル近郊(京畿道河南市)にある公立高校。韓国中から学生が集まるため全寮制で、校名にアニメーションを冠していますが、マンガ創作、映像演出、コンピュータゲーム制作も加えた4学科があり、1学年25名前後の少数精鋭主義。このような公立高校は増えて、今では全国に5,6校あるとか。卒業生は、国内だけでなく、ハリウッドの大手スタジオにも採用され、韓国のコンテンツ産業のけん引役になっているようです。
ユーさんが在学していた頃、先生たちはヨーロッパなどのアート的なアニメーションを好み、学生にもアート優先を求めたとか。そこには「マンガやアニメは日本から入ってきた文化。韓国のものではなくても、日本より良いものを創り出さねば」という義務感があったから。日本のアニメが人気と言われる韓国ですが、国際映画祭に出品される学生作品に日本のテレビアニメなどの影響が見られなかったのには、こういう背景があったのですね。
1998年に日本の大衆文化が解禁された韓国。今の若い世代は屈託なく日本のアニメやマンガに親しみ、韓国アニメーション高校でも「日本のアニメのような卒業制作が出てきた」と、最新の学生作品を紹介してくれました。

日本と海外作品を比較して、ユーさんがWAT 2016セレクション作品を評してくれました。
日本のアニメは作品(主人公)と“自分”(観客)との間に距離がないのに対し、海外作品では“自分”との距離感があります。たとえば、日本ではモノローグが多用されるが、海外作品にはナレーションはあっても、モノローグが少ない。『ビトイーン・タイムズ』は、鳩時計のモノローグが舞台回しとなり、「日本的と感じた」そうです。確かに、監督の桑畑かほるさんは日本出身ですね。
視聴前に解説を読まないユーさんは、触感のダンス』が聴覚障害者の登場する作品と知らずに見始めたところ、「主人公の耳が聴こえないのが分かり、見直したら、細かい配慮」に気づき、感心したそうです
また真逆のふたり』は、夫婦が上下逆さまの空間で生活する設定が良かったとか。

トークは、京都国際マンガミュージアムでの展覧会の企画、マンガ・アニメ関連の国際イベントへの招待参加など、ユーさんの国際マンガ研究センターでの仕事へ。
昨年10月イギリスで少女マンガの巡回展を行なったところ、延べ2万5000人が来場。ワークショップの参加者には、30・40歳代の人もいたそうです。
今年4月ギリシャで、初めての日本のマンガ展「マンガの先駆者たち」を開催。ギリシャにマンガファンいるの?と当初思ったそうですが、3日間に1万5000人が訪れ、親子連れも多く、ワークショップは盛況。日本のマンガマニアが驚くほどいると、再認識したそうです。
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海外で行なった日本のマンガ展

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巧みな語学力で日本のマンガの魅力を海外のワークショップで紹介するユースギョンさん

京都精華大学の竹宮惠子学長が発案した「マンガの原画'(ダッシュ)」プロジェクト。作家個人が保管するマンガ原稿は、日本のマンガ史の貴重な史料であるにも関わらず、消滅、散逸の危機に瀕しています。原画の保存と、それらを劣化させることなく内外でマンガ展を行なおうとするのが、「マンガの原画'(ダッシュ)」。
コンピュータにマンガ原稿を取り込み、綿密に色調整を重ねた上で印刷した、精巧な複製原画です。竹宮学長が中心となり、描線の濃淡や色彩の階調など微妙な細部まで再現し、原画と並べても見分けがつかない程の精度を持っているとか。出力・印刷は、大日本印刷が共同で技術開発しています。
2001年に始まったプロジェクトは国内で展覧会を重ね、海外も注目。上記のとおり、イギリス、ギリシャ、オーストラリアそしてフランスの展覧会は好評で、来年はドイツ開催が計画されているそうです。

かつてのユーさんは“外国人”が苦手だったのだそうです。堂々と海外でプレゼンされる、今の姿からは想像できません。日本のマンガへの興味関心が、ユーさんを日本に呼び寄せ、もっと広い世界へ導いているのですね。
ユースギョンさん、深い洞察力と高いコミュニケーション能力で日本のマンガ文化を広めてくださって、ありがとうございます!

「マンガの原画'(ダッシュ)」プロジェクトについて>>
 
ユースギョンさんの博士論文「日本の少女マンガと韓国の純情マンファにおける視覚的要素の比較研究―「花より男子」と「らぶきょんLOVE in 景福宮」>>

後記 昭和3年(1928年)に建設された、元・立誠小学校の校舎を活用する、立誠シネマプロジェクト。トークイベントも元教室で行われました。当日は梅雨空の蒸し暑い日でした。元校舎には冷房がなく(映画上映シアターはエアコン完備)、3階まで上ると、うぁっと汗が吹き出しました。それでも、窓を開け放った、3階の教室には風が吹き抜け、汗も引いて行きました。
窓の外を見れば、東山三十六峰が(写真)!建物の足元には、森鴎外の小説にもなった高瀬川。
京都の子どもたちは、なんて風情ある場所で勉強していたのでしょう!!
立誠シネマ06

ユースギョンさんとの楽しいトーク、映画好きなスタッフが心を込めて上映と接客をしてくれる立誠シネマ、京都で忘れえぬ思い出ができました。
WAT 2016の10作品をご覧いただいた京都、関西の皆さま、どうもありがとうございます。

(オフィスH 伊藤裕美)

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